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キリスト教の三賢者:家にやってきた東方の旅人たち

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    1月6日はキリスト教の「公現祭(Heilige Drei Könige)」として知られ、ドイツの一部の州では祝日となっています。

    具体的には、以下の3つの州で祝日として定められています。

    • バーデン=ヴュルテンベルク州(Baden-Württemberg)
    • バイエルン州(Bayern)
    • ザクセン=アンハルト州(Sachsen-Anhalt)

    これらの州では、1月6日は法定の祝日として多くの企業や学校が休業となります。

    一方、ドイツの他の州では1月6日は通常の平日であり、特別な祝日とはなっていません。

    また、ドイツ以外でも1月6日を祝日としている国があります。例えば、オーストリアやスペインなどのカトリックの伝統が強い国々では、公現祭を祝日としている場合があります。

    ただし、国や地域によって祝日としての扱いは異なるため、具体的な国名や地域については各国の祝日カレンダーを確認することをおすすめします。

    目次

    家にやってくる三賢者(東方の三博士)

    話を戻しますが、バーデン=ヴュルテンベルク州(Baden-Württemberg)では、1月6日は祝日となっています。

    この祝日の数日前、実際に三賢者が家々を訪れる風習があります。

    日本語では「東方の三博士」とも呼ばれる彼らは、新約聖書『マタイによる福音書』に登場する東方の博士たちがモデルです。

    彼らはベツレヘムの星に導かれ、幼子イエス・キリストを訪ねて贈り物を捧げたと伝えられています。

    写真のように三賢者が訪ねてくると、祝福の歌を歌いながら、家を祝福してくれます。その後、感謝の気持ちとしてお布施を渡します(額は自由ですが、10ユーロ程度が一般的です)。

    さらに、彼らが帰る際には、玄関のドアに三賢者が訪れた証として印を残していきます。この印を見るたびに、新しい年の始まりに受けた祝福を思い出すことができます。

    三賢者(東方の三博士)の伝承について

    聖書における記述

    「三賢者」は新約聖書『マタイによる福音書』第2章に登場します。ただし、聖書には具体的な人数や名前の記述はありません。「博士たち(Magi)」とだけ記されており、彼らがイエスの誕生を知り、星に導かれて訪れたとされています。

    彼らはヘロデ王に会った後、ベツレヘムの星に従い、幼子イエスがいる場所を見つけました。そしてイエスを礼拝し、金、乳香、没薬という贈り物を捧げたとされています。

    「三人」の由来

    「三人」とされるのは、贈り物の種類が3つ(「金、乳香、没薬」)であることから後世に推測されたものです。また、彼らの名前や詳細は聖書には記されておらず、後世の伝承や習慣で形作られました。

    三賢者の名前と意味

    伝承では以下の名前が付けられています:

    1. カスパール (Caspar, Gaspar)
      • 意味: しばしば「白人の王」として描かれる。
      • 贈り物: 乳香
        • 乳香は神聖な儀式で使われる香で、イエスの神性を象徴。
    2. メルキオール (Melchior)
      • 意味: 「東方の王」として描かれる。
      • 贈り物: 
        • 金は王権と富を象徴し、イエスの王としての役割を表現。
    3. バルタザール (Balthazar)
      • 意味: 「黒人の王」として描かれる。
      • 贈り物: 没薬
        • 没薬は埋葬や防腐処理に使われる香料で、イエスの人間としての死を予示。

    これらの名前や描写は4~6世紀頃に成立した伝承に基づいています。

    三賢者の役割

    三賢者は、イエス・キリストが世界の「王」であり「神」であることを認めた、最初の外国人として重要な象徴的役割を果たします。また、彼らは東方(ペルシャやアラビア、インドなど)の知恵を持つ人物として描かれ、星を読み取る「占星術師」としても知られています。

    芸術における三賢者

    中世以降、多くの絵画や彫刻で三賢者が描かれています。特にルネサンス期の作品には彼らが豪華な服装や贈り物を持つ姿が見られます。例として、以下のようなものがあります:

    • フラ・アンジェリコやフランドル派の絵画
    • キリスト降誕を描いたクリスマスのジオラマや飾り(クレッシュ)

    三賢者のドイツ語表現

    1. “Die Heiligen Drei Könige”
      • 直訳で「聖なる三人の王」という意味。
      • ドイツ語圏では一般的な呼び名です。
      • 「Heilige」=聖なる、「Drei」=三、「Könige」=王。
    2. “Die Weisen aus dem Morgenland”
      • 直訳で「東方からの賢者たち」という意味。
      • 聖書的な表現で、詩的な響きがあります。
      • 「Weisen」=賢者、「Morgenland」=東方。
    3. 「公現祭」“Heilige Drei Könige Tag” または単に “Dreikönigstag”
      • 「三賢者の日」として、1月6日を指します。
    4. 玄関のドアに残される印(祝福の証):
      • “20+C+M+B+25” のように年号と文字が記されます。
      • 「CMB」は「Christus Mansionem Benedicat(キリスト、この家を祝福せよ)」のラテン語の頭文字であり、三賢者の名前(カスパール、メルキオール、バルタザール)とも関連づけられます。

    1月6日までクリスマス

    我が家では、1月6日までクリスマスの飾りツリーやクリッペ(Krippe)を楽しんでいます。
    この日が過ぎると、いよいよ学校や仕事が始まり、日常が戻ってきます。

    ※クリッペとは、キリストの誕生の場面を人形やミニチュアで表現した「馬小屋の飾り」のことです。ドイツでは家庭や教会に飾られる伝統があり、ツリーと並んでクリスマスを象徴する存在です。

    小さな人形たちが静かに並ぶその光景を眺めていると、華やかなクリスマスの余韻とともに、穏やかな時間の流れを感じます。

    クリッぺ

    写真は、教会に飾られていたクリッペです。

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